プライベート CROSS HEROES reUNION 第2部 Episode:18
【ユートピア・アイランド編】原文:霧雨さん
空中に出現し、犯罪者の住まう島を
一つ塵に変えてしまった巨大な『島』、ユートピア・アイランド。
謎の破壊兵器の正体を突き止め、そこに住まうメサイア教団の大司教が一人、
ビショップを倒すべくCROSS HEROES分隊は天空の島に向かうのだった。
そこに待ち構えていたのは、人理の裏切り者である英霊アルキメデスと
ビショップが発明した発明品の数々、そして爆発的なエネルギーの結晶体
『バミューダクリスタル』で出来た機雷群。
迫る機雷群を、ヤムチャの操気弾と一計を講じて突破。島に上陸することに成功。
対する教団側も、教団兵士とビショップの発明である
改良型絶対兵士『ヘイルメス』部隊を襲撃させる。
さらに英霊アルキメデスも到着し、戦闘は激化するかと思われた。
だが、アルキメデスはビショップの命令を無視し、宝具を撃とうとしていた――――。
「集合意識の化身、プラナ/魔迎暴弓、血弓のガルード」
エジプト地下遺跡
「貴様、何の用だ。」
「用?そうだな。分かりやすく言うなら、キミを消しに来たんだ。海馬瀬人。」
海馬の眼前に現れた、謎の少年藍神。
彼は何一つ悪びれることもなく、淡々と己の目的を話し始めた。
「消す……。兄様、もしかして世界中で起きている一連の行方不明事件は。」
その目的―――海馬の消去。
彼等は知らずとも、世界中で発生している行方不明事件は藍神の仕業。
その動機とは。
「そうか、お前たちの意識にはそう映ったのか。世界のあらゆる出来事は、人間の集合意識によって決定される。キミが童美野町で独裁者として君臨しているのも、全ては世界中の人間の『そうであれ』という無意識な集合意識がそうさせているに過ぎないのさ。全ての人間が同調し創造/想像し得た、歪で愚かしい人理のためにね。」
「人理だと?」
藍神は続ける。
「彼らが消えているようにキミたちが認識したのも間違いだ。実際は消えてはなくてこことは少し異なる低次元に移動しただけ。お互いに認識できない次元にね。」
認識、集合意識、無意識間を、その波動を歩む者たち。
見たところ、藍神はその中でも筆頭格の存在らしい。
「ボクらは、この物質次元に現れた新たな存在『プラナ』。ボクらの集合意識の波動は常人の七倍。全てはこの世界を変えるためだ。そして、キミは我らの計画を乱す存在。」
第■の■■■■■■がもたらした新人類、プラナ。そう呼ばれる子供たちが藍神の背後に出現する。
集合意識の化身たる存在、それが彼らという存在の正体だ。
「―――さぁ、低次元に消え去れ!」
プラナ達の意識が、海馬に向けられる。
彼を低次元へ消去しようとその意識を変革する。
「兄様!」
「ッ! うろたえるな!モクバ!」
だが、この程度の攻撃で屈するような男ではない。
「見よッ!」
掲げた最新鋭のデュエルディスクが、青い光を放つ。
青白い光を浴びたプラナの子供たちが、次々に消えていく。
そのうち、この場に来ていた男が彼のトリックを見抜いた。
「あのデュエルディスクが奴の自我を増幅させ、我らの力に抗っているだと!?」
強い自我、強固な意志、変え難い決意こそは、人類の集合意識に抗う最大の武器。
海馬は『どんな手を使ってでも、名もなきファラオと雌雄を決する』という意志を武器に変え、プラナの波動に抗いきった。
これにはさすがの藍神も、驚きを隠せない。
「ほう耐えたか、面白い。ならば、魔術の札で裁きを与えるまで!」
◇
数分前 暗黒魔界 鬼岩の山中腹にて
「ガルード様、報告いたします。斥候の天狗部隊が先ほど壊滅状態に。」
豪胆な鬼だった。
筋骨隆々、3メートルはあるだろう赤鬼。
そいつが屍の玉座に座り、頬杖をつきながら報告の鬼の話を聞いている。
「雑魚どもが。ならば俺の『弓』を持ってこい、すぐに!」
「はっ!」
そして今、ガルードと呼ばれた鬼が岩山の狙撃ポイントに立つ。
これまた禍々しい金属の弓を手に立ち上がっている。
「この『血弓のガルード』様の領域内に土足で入ってくるとは、愚か者ども。」
禍き弓に、これまた毒々しい色味の、一見槍と見間違える程の大きさを持つ魔金属の矢をつがえる。
その剛力を以て強引に引き絞り、迫るアビダインと聖暈船を睨み、狙う。
「この程度でくたばってくれるな、少しは楽しませてくれよ!」
放たれる嚆矢。
大きさにして2メートル半はある魔矢がマッハ16の速度と尋常ならざる正確さで迫る。
狙いはアビダインとその後方の聖暈船の心臓部、竜骨。
両者を貫通し、破壊することで効率的な殲滅を実行する気だ。
「!」
矢の接近を察知したザルディンが、槍六本を変形させ龍の形にする。
その上に乗り、迫る矢を―――斬撃の疾風で破壊する!
「甘い!その程度で撃ち落としたつもりか!」
「ちっ、勘のいい野郎どもが。だが……!」
その刹那、巨大な矢が爆裂した。
魔力による起爆、その中から八千本はあるだろう呪鉄の矢が二つの船を襲う!
「まずった、フレシェットだ!」
ザルディンが青ざめる。
フレシェット砲弾。
それは、内部に数千本の鉄の矢を装填した史上最悪レベルの代物。
魔力を込め、呪いの金属でできた数千本の呪矢を巨大な矢という外殻で覆い、ガルードはその膂力を以て放った。
全ては確実に、船を轟沈させるために。
「うおおおおおおあああああああああ!?」