無下

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1人目

ある日の暮方のことである。一人の集団が路地裏で囁いた。
「夜に徘徊するのはとても良い」と。

その異様な呟きを耳にしたメロスは激怒した。
これまで一度も経験したことのない激怒に震えました。
メロスは一度も怒ったことがなく、今も、そしてこれからも怒ることはないのです
「気持ちいいんだもきゅ!領主の理屈など理解できませんもきゅ!」と叫び、
メロスはその声を早朝に解き放ちました。

やがて彼は、自ら命を絶ちました。
クラムボンの死は瞬く間に世界へと広まり、人々の心は一瞬にしてその名に染まりました。

2人目

メロスの自死は、ただの死ではなかった。彼の死とクラムボンの名が世界に広まるにつれ、人々はそれまで当たり前だと思っていた日常に疑問を抱き始めた。夜の徘徊が良いとする集団の囁きは、これまで圧政に苦しむ人々が抱えていた、かすかな反抗心に火をつけたのだ。
「気持ちいいんだもきゅ!」という、あまりに純粋で、あまりに異質なメロスの叫びは、支配者の理不尽な理屈を無意味なものにした。