部族の争い

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1人目

急な斜面を流れ落ちる水は、川幅を広げていく。
そこに二人の男が向かい合っていた。一人は上半身裸で、腰に茶色の毛皮をまいただけの男だ。
もう一人も似たような服装だがこちらの毛皮は黒い。
「おい!お前が噂の水使いか?」と黒い毛皮の男が低い声で言った。
「違う、人違いだ」と茶色い毛皮の男は答えた。
だが黒い毛皮の男は容赦なく石斧を振り上げていた。

2人目

茶色い毛皮の男に石斧があたろうとした瞬間

「争いはやめろ!!」
声と共に現れたのは、仮面を被った白髪で、声からして女性だった。彼女は、石斧を持っている黒い毛皮の男に向かって、槍を投げていた。

「何者だ!!」
黒い毛皮の男は、仮面を被った白髪の女性に向かって、怒鳴りつけていた。

「私は、この森を守護する者だ。この森では、争いは許さぬ。今すぐ、立ち去れ。立ち去らなければ、力づくで……」
仮面を被った白髪の女性が、怒りを露わにすると、彼女の周りから水滴が出現し始めていた。

3人目

仮面の女性が水滴を出現させた瞬間、茶色い毛皮の男が動いた。彼は女性の背後に回り込み、彼女の仮面を剥ぎ取った。仮面の下から現れたのは、美しくもどこか憂いを帯びた顔。
そして、その顔を見た黒い毛皮の男は驚愕に目を見開いた。
「姉さん…なのか!?」
黒い毛皮の男…トルが震える声でつぶやく。女性ははっと息を飲み、茶色い毛皮の男を睨みつけた。
「なぜ私の仮面を取った!」

4人目

彼女は、すぐさま仮面を取り返して、距離をとり、仮面をつけなおしていた。

「どうして……姉さんが!?」
トルは、目の前の光景に動揺を隠せないでいた。

「私は、託されたのだ。この仮面を、そして、この森を……。もう一度言う、争いはやめろ。森が悲しむ」
彼女の周りには、森に住んでいる動物達が姿を現していた。