チェスの駒

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  • ファンタジー
  • 自由に続きを書いて
  • 登場人物が死ぬの有り
  • 性的描写有り
  • 残酷描写有り
  • 暴力描写有り
1人目

戦争はチェスのような物だ。一度戦局を見誤れば駒がやられていく…僕は駒の役目から逃げた…逃げたが僕は結局今でも駒のままだ…
――――
部屋で2人の男がチェスをうっている
「チェックメイト。これで私の99勝1敗ですね…こんな調子で大丈夫なのですか?」
また負けた…だが大した問題ではない
「これは遊びだろう…?本番で勝てれば問題はない」
「はいはい、それでは行きましょうか…」
少年は従者に適当にあしらわれる。そして2人は片付けを済まし外に出る

2人目

磨かれた石畳の道を抜け、喧騒が聞こえる場所へと向かう。
円形の闘技場のような場所では、何十人もの男たちが組み合っていた。
皆、腰布一枚だけを身につけ、裸の肉体を惜しげもなくさらしている。
少年は、その光景に目を奪われた。力強い男たちが互いに技を繰り出し、投げ飛ばし、締め上げている。全身の筋肉が隆起し、汗と油で光り輝いている。

闘技場をぼんやりと眺めていた少年は、その中のひとりに目を留めた。その男は、他の者たちとは一線を画す、圧倒的な強さで相手をねじ伏せている。見覚えのある顔…いや、あの力強い動きは…。
「…ハル…?」
少年は思わず呟いた。その男は、少年がまだ幼い頃、チェスを教えてくれた幼馴染に瓜二つだった。闘技場の男は、相手を投げ飛ばし、そのまま地面に押さえつけた。
それは、幼い頃一緒に秘密の言葉を作って笑い合ったハルの姿とはかけ離れていた。けれど、時折見せる真剣な眼差し、勝利の瞬間にほんの一瞬だけ浮かぶ満足そうな表情は、確かに記憶の中のハルと重なる。
ハルの周りには、力尽きた男達がまるで打ち上げられた魚のように折り重なっている。その光景は凄まじく、少年は思わず息を呑んだ。
「ハル」
少年は無意識に声を漏らした。
ハルは一瞬だけこちらに視線を向いたように見えたが、すぐに次の相手に向き直った。
その時、重い車輪の軋む音が響いた。
闘技場の奥から、鉄でできた巨大な檻が押し出されるようにして運ばれてくる。
鉄格子の中で蠢く影を目にした瞬間、少年の全身に悪寒が走った。
檻の中に収められていたのは、牛の頭と人間の肉体を持つ伝説の怪物――ミノタウロス。
その巨体は武器も衣も身につけず、そのむき出しの肉体が異様な熱を放っていた。岩のように隆起した筋肉が汗に濡れ、全身からは獣の臭気とともに抑えきれぬ昂ぶりがあふれ出す。吐き出す荒い息が白い霧のように檻の隙間から漏れる。
鋭い角を大きく振り回しながら、怪物は鉄格子に体を打ちつける。獣臭と共に漂ってくるのは、血を求める衝動だけではない。瞳は爛々と光り、全身が発情した獣の昂ぶりに震えている。
理性の欠片もなく、ただ雄の本能に突き動かされているのが誰の目にも明らかだった。
その巨躯の下腹部でそびえ立つものが少年の目を釘付けにした。太い陰茎が完全に勃起し、脈打っている。それは人のモノとは比べ物にならない巨大さで、まるで別の生物のようにグロテスクだった。先端は赤黒く膨らみ、粘液が糸を引いて床へと滴り落ちていく。
「ギ…グオォ…」
低い唸り声と共に、ミノタウロスの腰が前後に揺れ始める。自らの欲望に抗うこともなく、興奮に分厚い胸板を激しく上下させながら灼熱の屹立を冷たい鉄柵にこすりつけ始めたのだ。

3人目

その異形の光景を目の当たりにした少年の喉が引き攣るように絞まり、肺から空気が消えた。言葉どころか呼吸さえ失った唇が微かに震える。
(な…何だ…あれは…?)
ミノタウロスは伝説上の存在だ。それが今、鉄格子を揺らしながら猛り狂っている。

4人目

「あれは…あれは本当にミノタウロスなのか?ミノタウロスというのは神話の中の、絵本の中の怪物だ。それがこんな所で檻に入って、しかも発情しているなんて…」
「残念ながら、世には伝説と呼ぶには生々しすぎる現実が多々あるのです。あれは間違いなく、我々が認識している『ミノタウロス』です。そして、あれがここに居るという事は…」
従者は一瞬言葉を切り、周囲を鋭く見渡した。