自己否定
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「この作品を見てはっきりした。殺されてくれ」
読後、私はそうつぶやいた。しかし、それは決して殺意の表明ではなかった。いや、違う。殺意はあった。ただし、それは私自身に向けられたものだった。
その小説は、ひどく醜い人間の業を描いていた。保身のために嘘をつき、弱者を食い物にし、それでも自分は正しいと信じて疑わない人間たち。それは、まぎれもなく、これまでの私自身の姿だった。この醜い私を、社会で通用する無難な人間を演じ続けてきた私を、私は殺さなければならない。