夜道
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1人目
背中にまとわりつく気配を察し、留吉は足を止めた。
振り返る。誰も居ない。
榎の木陰に旋風が立ち、朽葉を宙に巻き上げていた。風が収まると、榎の幹には切り裂いたような大きな裂け目ができており何かが動いた気がした。
「なんじゃ…」
留吉は呟き、足を踏み出した。
だが、次の瞬間、背筋を走った悪寒に身を縮めた。
(…ただならぬ強烈な威圧感がある)
そう感じて辺りを見回す。
木々に囲まれた雑木林の中だ。鳥や獣の声はするが人の気配はない。
(まさか)
そう思った刹那、足元で枝を踏む音がした。反射的に振り向く。
そこに男が立っていた。黒い着流しをまとっている。顔は薄暗い中にあってなお青白く、目は虚ろだった。
「な、何者じゃ!」
驚きながらも留吉は身構えた。