勘違い
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1週間前
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俺たちは案内された席に座り、メニューを広げた。だが、どうにも落ち着かない。店内のギラついた視線が、まるで俺たちを値踏みしているようだ。
「草太、もしかして、あの客たちって…」
凛一が小声で俺に耳打ちする。
「まさか、ファンとか…?」
「ファンなわけないだろ!」
俺は即座に否定した。俺たちはただの高校生だ。有名人でも何でもない。だが、その視線は俺たちに突き刺さり続ける。
近くの席に座っている男性が俺をジロジロと見て、それから口を開いた。
「君たち、もしかして…」
男性はそう言うと、俺たちの顔をまじまじと見つめる。そして、その顔が、まるで何か重大な秘密を発見したような、驚きと興奮に満ちた表情に変わった。
「…もしかして、『フルーツパフェ大食いチャレンジ!』で優勝した、YouTuberのブラックバードと秋島ボングンじゃないか!?」
俺と凛一は、顔を見合わせて固まった。俺たちは、全く見当違いな人物に間違えられているようだ。