ねぇ、王子様
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1週間前
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エメラルドの瞳を持つ魔女が、水晶玉をのぞき込みながらささやいた。
「この先、あなたの運命を切り拓くのは王子です。彼は、世界の果ての『嘆きの森』で眠っています」
それを聞いた王女は、愛用の剣を手に取り、たった一人、城を抜け出した。夜空に輝く満月だけが、彼女の行く道を照らしている。
王女は、『嘆きの森』の奥にある古びた神殿で、ついに王子と出会った。神殿の中心に立つ台座の上で眠っているのは、まばゆい光を放つ卵だった。
「…これが、王子?」
王女は困惑しながらも、そっと卵に触れた。すると、卵の殻にひびが入り、中から小さな音が聞こえてきた。やがて、殻はパリンと割れ、中から一匹の小さなドラゴンが顔をのぞかせた。
ドラゴンは王女を見つめ、キラキラと輝く瞳で笑った。それはまるで、長い間、王女が来るのを待っていたかのようだった。その小さな体からは想像もつかないほどの強い魔力が感じられた。このドラゴンこそが、世界の平和を司る『光の王子』だったのだ。