発掘
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6日前
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1人目
ザッ!ザッ!
ゴゴゴ…!
ヘルメットに取り付けたライトが、岩肌と土を照らし出す。それ以外の場所は、跳ね返った光がうっすらと照らすのみ。
岩を削るツルハシの音、時には岩を砕く削岩機の音。
2人の男が、洞窟を掘っていた。
手を休めた1人が言った。
「そろそろ出てきそうなもんだが、本当にこっちで合ってるのか?」
「この絵図を解読した通りなら、もう少しで何かに当たるはずだ」
もう1人が取り出したタブレットも画面に、古い絵図の画像が映っている。
計算した数値や、書かれた内容の解読文があちこち書き込まれている。
「ここがこの洞窟の入り口、俺らはこう来たから、今はこの辺りだ」
「そっか。あれだけ掘れば、今頃この辺りだな」
画像上を指でなぞって説明されて、もう1人も納得した顔になった。
そしてようやく小さな青銅の壷を掘り出すのに成功した。
その壷には絵が描かれていた。それは、全裸の剣闘士のような男が背中に2本の剣を背負っている姿だった。
「おっしゃあ!」
二人は喜びの声を上げた。
「間違いない、これだぜ!」
「ああ、やっと見つけたぞ!」
掘り出された壺は、土まみれだったが異様な輝きを放っていた。