＊ 1人目

窓の外の植木鉢から、妙なうめき声が聞こえてきた。
「うーん、もうちょっと、水が欲しいなぁ…」
見ると、先日水をやり忘れたサボテンが、ぷるぷると震えている。まさか、と耳を澄ますと、声はたしかにサボテンから聞こえていた。私は驚きながらも、恐る恐る尋ねてみた。

yama023 2人目

「お前生きてるのか？」と言うと「ああ生きてるだろ常考！！そんなことより水をくれ！！」という返事が返ってきたのである。

「サボテンも生き物だっつうの！！信じらんねえヤツだなまったく！！」と怒っているようだ。

私はあわててサボテンに水おかけた。

＊ 3人目

私は慌ててサボテンに水をかけた。水をたっぷり吸い込むと、サボテンの怒りは収まったらしく、心なしか棘の威圧感が和らいだように感じる。
「ふう、助かったぜ。お前、水やり忘れてたってことは、俺のこと植物だとでも思ってたのか？」
「だって、サボテンは植物だろ……」
私が当然のことを言うと、サボテンは呆れたようなため息をついた。
「ちげーよ！　俺は元々、人間だったんだ」
私は目を丸くしてサボテンを見つめた。