選択肢によって、導かれる運命
「ここは、どこだ?」
俺は、目を覚ますと木々に囲まれた芝生の上で目が覚める。
「俺は、確かベッドの上にいたはずだ。こんな場所にいつ来たんだ?………うん?」
周囲を見渡していると、目の前になにやら、画面のようなものが出てきた。
「なになに……ここは、あなたが居た世界とは別の世界です。これから先、あなたが行動した際に次から次へと選択肢が現れます。あなたの選択で未来が変わります。勇者かもしれないですし、魔王になるかもしれません。それでは、この世界を楽しんでください……」
読み終えると、その画面は消失していた。
「それならば……」
俺はある考えを思いつく。
そして、俺はその場に寝転んだまま動かない。
俺が行動した際に次から次へと選択肢が現れるなら、このままずっと何もしないならどうなる?
勇者にも魔王にも、他のあらゆるものにもなり得ないまま延々と時を過ごすことになるのか?
それとも……?
そのまま、時は流れる。
1日なのか、1ヶ月なのか、1年なのか、どのくらいの時が過ぎたのか分からない。分からないが、突然、俺にある衝動が沸き起こる。
「腹、減ったな……」
そう呟くのと同時に、俺の腹がグゥと鳴った。
ずっと、寝転んだまま動かないでいたせいか、動けずにいた。行動したら、選択肢が出るために、何もしなかったせいで、見た目も髪が長くなり、髭も伸びてしまっていた。
「このまま、何も食べずにいたら、干からびて死ぬのかな……」
俺は、動きたくないし、動く気力もなくしていた。
しばらく時間が経過すると、一人の茶髪の女性が近づいてくる。
「大丈夫ですか?さっき、お腹が鳴る音が聞こえた気がしたので、よろしかったら?」
「嘘だろ!?」
彼女にお腹の音を聞かれてしまったことへの驚きと共に、選択肢が目の前に現れてしまう。
「彼女から食べ物を……A.もらう B.もらわない」
俺は、初めての選択を迫られてしまう。
「これを選択したからと言って、すぐに運命が決まるとは限らないだろう。ただ、次にどんな選択肢が出てくるかわからない以上、慎重に選択しないといけないが……」
俺は、お腹が空いてしまっていたせいか、何も考えずに選択肢を選ぼうをしていた。