プールでの依頼
「この娘の名前は?」
「芝田紗奈。見たとおり、女子大生よ。女友達とプールに来るわ。」
「この娘を犯せばいいんですね?もう1人の友達の方は?」
「あなたの好きにしなさい。」
もう一人はちょっとギャルっぽい感じだが、見たところ普通の女子大生だ。
紗奈は金持ちのお嬢様かなんかなのだろうか、で一体どんな問題を起こしたというのか。
「彼女は大手鉄鋼メーカーの令嬢よ」
「へぇ…人は見た目によらないもんっすね。で、この子が何か問題でも?」
「ライバル企業の御曹司を痴漢冤罪で犯罪者扱いにしたのよ」
「そりゃまた…犯されても文句は言えないですね」
この事は新聞まで騒ぎ立てているから昭弘も知ってはいたが…よもやこんな所で騒ぎの中心人物に遭うとは思いもしなかった。
「プールとなると、女子更衣室に、俺は入れないから、別の場所に誘い込んだりしなければならないのか。それに、人目も多すぎるから、場所を考えないとな……」
昭弘は、プールの詳細図を見ながら、考えていた。
「因みに、今回の仕事は、俺だけでやるんですか?女性を犯すとなると、プールですし、同性の方の協力があると、やりやすいですが……」
「私とあなたの関わりはなるべく少なくしたいから、余程のことがない限りは、あまり協力できないわ」
「そうですか……」
昭弘は、どんな作戦で行こうか、頭の中で情報をまとめようとしていた。
「ところで、どうして彼女をターゲットにしたんですか?あなたと何か関わりがあったりするんですか?」
昭弘は、少しでも何か情報を得られないかと依頼人の女性に質問していた。
依頼人の女性は冷ややかな笑みを浮かべ、窓の外を見つめた。
「関わり…ええ、そうね。彼女が嘘で塗り固めた『正義』のせいで、私の大切な人が全てを失ったの。それだけ分かれば十分でしょう?」
昭弘は深く追及するのをやめ、手元のプール詳細図に目を落とした。
「わかりました。…協力者がいないなら、こちらで『舞台』を作るまでです。プールサイドのVIPエリア。あそこはプライバシー重視で視線が遮られている。紗奈がドリンクを買いに席を立つ瞬間を狙います」
「どうやって彼女をそこへ?」
「簡単ですよ。彼女のスマートフォンの番号はわかってます。匿名のアカウントから、彼女の秘密…例の冤罪事件の『証拠映像』を握っていると偽のメッセージを送る。彼女はパニックになり、誰にも見られない場所で確認しようとするはずだ」
「へえ……なかなかよく考えているじゃない。でも、油断しちゃダメよ。彼女は頭がキレるから、少しでも違和感を感じれば、怪しんでくるから……」
「もちろん、あなたからの依頼ですからね。失敗はできませんよ。それでは、俺は準備にかかります。」
「ええ……よろしくね。」
昭弘は、作戦を実行するため、準備にかかり始める。しかし、昭弘は知らなかった痴漢冤罪の事件には、隠された真実があることを……
翌日、昭弘はプールへと向かった。遠くから見る紗奈は、日差しを浴びて無邪気に笑っており、とても卑劣な嘘をつくようには見えない。しかし、その隣にいるギャル風の友人、美波が時折見せる「怯え」の表情を、昭弘は見逃さなかった。
(…あの友達、何か知ってるな)
昭弘は計画を変更した。
美波は、時折様子がおかしかった。すると、気分を悪くしたのか、立ち上がって移動したのを見て、昭弘も移動を開始する。
「はあ……やっぱり、来るんじゃなかったかな……」
美波の様子からして、事件の報道には疑問を感じた。昭弘は、こっそりと紗奈に接触する機会を窺っていた。