裏切り
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30人リレー
6日前
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1人目
コロシアムから宿屋に戻る途中で、俺はふと足を止めた。
俺はそのまま、来た道を少し戻ってみた。
人気の無い路地へと入る。
「そこにいる奴、出てこい」
俺はそう言うと、道の脇の暗がりに鋭い視線を向けた。
俺が立ち止まっていると、陰から人影が進み出た。
人影は全部で四つあった。
「ふん、さすがだな。気づいていたか」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる」
「元勇者だろ? だが、今はただの犯罪者だ。いや、元からただの犯罪者だったな」
そう言って、男は笑った。盗賊らしい粗末な身なりだが、かなり鍛えられた肉体の持ち主であると分かる。
他の三人も同じような雰囲気だ。
俺は、そいつらを一人ずつ観察した。
未定
2人目
先ほど笑った男がリーダー格だろう。その両脇に立つ二人組は、どちらも長剣を腰に下げており、一方は細身で素早い動きを、もう一方は大柄で力強い一撃を予感させた。そして、リーダーの背後に控える最後の一人は、フードを深く被り、得物を見せない。だが、そのたたずまいから、最も危険な存在だと直感した。