逃走

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  • 登場人物が死ぬの無し
  • ミステリー
  • 暴力描写無し
  • 性的描写有り
  • 自由に続きを書いて
1人目

高次は走った。目指すは北の方角にある海。この国で唯一、自分の居場所と呼べる場所だ。
「人が倒れてるぞ!」「事件だ!」
後ろから何人かの悲痛な叫び声が聞こえたが、高次は走り続けた。今はとにかく海にたどり着くことしか頭にない。
「おい!あそこだ!追え!」
サイレンの音と共に、警察官たちの怒号が近づいてくる。高次は小道に逸れ、人ごみに紛れ込んだ。
「くそっ、見失ったか…」
警察官たちの声が遠ざかっていく。高次はほっと息をついたが、まだ安心はできない。
高次は小道を抜け、人ごみから離れると再び走り始めた。海までの距離を半分ほどにしたところで、高次は小さな公園を見つけた。ベンチに座って休んでいると、後ろから近づいてくる足音がした。高次は身構えたが、足音の主は地元の漁師らしき男だった。
「警察に追われているのか?」