雨音が遠ざかるまで
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6時間前
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白鳥ナミ
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大学二年の夏休み、俺たちはバイクでツーリングに出かけた。
会津若松を朝に出て、日光まで走る計画だった。彼女は後ろのシートで、インカム越しに楽しそうに笑っていた。
山道に入った頃、空が急に暗くなり、雨が落ちてきた。
最初は気にしていなかったけれど、次第にザアザアぶりになり、視界も奪われていく。レインウェアの中まで冷えが染み込んだ。
「もう無理しないで、どこか泊まろう」
彼女の声にうなずき、俺たちは予定を諦めた。
やっと見つけた小さなホテルに転がり込んだとき、二人とも言葉が出なかった。安堵と疲労が一
気に押し寄せたのだ。
その夜、一緒に風呂に入った。
湯気の中、雨音が遠くで鳴っている。温かさに肩の力が抜け、彼女の横顔を見て、無事に
ここまで来られたことを実感した。
旅は予定通りじゃなくていい。
そう思えた夏の夜だった。