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  • 恋愛
  • ハッピーエンド
  • 登場人物が死ぬの無し
  • 残酷描写無し
  • 性的描写無し
1人目

三十歳になって、理由もなく焦ることが増えた。
その夜、俺は百人対百人の街コンに参加していた。会場はざわつき、名刺代わりのプロフィールカードが次々とテーブルを行き交う。誰と何を話したのか、途中からよく分からなくなっていた。
結果は、可もなく不可もなく。
連絡先はいくつか交換したが、胸が動く感じはなかった。
帰ろうとしたとき、背後から声をかけられた。
「二次会に行きませんか?」
振り向くと、さっき少しだけ話した女が立っていた。
年齢も職業も、正直あまり覚えていない。ただ、目が真っ直ぐだった。
酒は飲んでいないことを伝えると、
「じゃあ、一緒に行きましょう」と自然に言われた。
車の中は静かだった。
ラジオもつけず、信号待ちの時間だけが妙に長い。
この沈黙が気まずいのか、心地いいのか、判断がつかなかった。
二次会の会場は、カラオケだった。
最初は他愛のない曲を入れ、笑い、拍手をした。
いつの間にか照明が落ち、音量が下がり、知らない曲が流れ始めた。
チークダンスだった。
断る理由はあったはずなのに、
俺は何も言わず、彼女の手を取っていた。
近すぎる距離。聞こえる呼吸。
それでも、不思議と酔ってはいなかった。
踊り終わったあと、
彼女は何も言わず、少しだけ微笑んだ。
その表情の意味を、
俺はまだ理解できていない。
ここから先が、
「よくある話」になるのか、
それとも――。