万能調味料

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  • ミステリー
  • SF
  • ホラー
  • 現代ドラマ
  • 登場人物が死ぬの有り
  • 話の流れを無視OK
1人目

怪しげな路地裏の、さらに地下。湿ったコンクリートの壁に囲まれたスタジオで、男は真っ白い歯を見せて笑いました。その笑顔は完璧すぎて、どこかプラスチックのような不自然さを湛えています。
「奥さん、まだそんな『本物』にこだわっているんですか?」
カメラが回ります。ライトに照らされた彼の手に握られているのは、ラベルの一切ない、ただの銀色の小瓶。
「現代人は忙しい。素材の味? 出汁の深み? そんなものは、時間の無駄でしかありません」
男はテーブルの上に置かれた、湯気の立つ至って普通のみそ汁を指差しました。具材は豆腐とわかめ。どこからどう見ても、日本の食卓の象徴です。
「これを、究極のデザートに変えてみせましょう」
男が小瓶をひと振りしました。パラパラと、砂のような無機質な粒子が汁の中に消えていきます。

次の瞬間、信じられないことが起こりました。
茶褐色の汁は見る間に真っ白な生クリームへと膨れ上がり、沈んでいた豆腐はスポンジケーキに、わかめは真っ赤なイチゴへとその姿を「置換」したのです。