適当占い師

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1人目

 冒険者達が活動拠点としているこの街では、全てを見通すと揶揄される占い師が居るという噂があった。

 "全てを見通す" そんなの嘘に決まってると思っていたんだが、実際にその占い師に占ってもらった奴らからは、
『彼女は神だ!』『まさに、神の使いだ!』『私、一生をかけてあの人にご奉仕したいわ!』『彼女こそ、本物の聖女様よ!』⋯⋯などの声が上がっており、一部では、彼女を神とした宗教を興そうとしている。どうやら噂は本当だったらしい。

 俺の身分はただの旅人。世界を自由に跨ぎ、冒険者として路銀を稼いで、時には人を魔物や、魔獣から助ける善人。
 ただ、旅人であり冒険者という職は危険を避けれない事が多い。俺は、少しでも安全に、平和に暮らすためその噂の占い師の居る場所へと足を進めた。

 二十分程、歩いて着いた占い師の場所。
 扉を開けるには合言葉を言わなければならないと扉の前にそう書かれた張り紙があった。⋯⋯詰んだ。合言葉なんて知らん。
 いや、もうなんか言えば当たるだろ。


 「開け!ごま!」

 ゴゴゴゴゴゴ⋯⋯⋯

 ⋯⋯⋯開いた。扉が。
 え、いや適当すぎないか?開けゴマで開くなんて。もっと占い師らしい、こう⋯⋯なんというかあるだろ。似合う言葉が。
 まぁ、いいや、中に入ろう。

 
 「よく来たね。私の名前はウト・キテ。この辺りでは有名な占い師さ。ああ、勘違いしないでよ、私占い師と言ってもヤブだから。ヤブ。意味わかるよね。ハブの方じゃないからね?」

 ⋯⋯なんだこの女は。
 占い師、街の噂では神の使いやら、聖女とか言われてた奴だよな?
 ⋯⋯⋯これが?

 「おーい。君、私の話聞いてる?私はね、本当は占い師なんかじゃないんだよ。ただ、なーんか知らんけどここにいきなり来ちゃったの。君に分かるかい?立派な学生をやっていた私が、こんな、こんな、食事への追求も交通整備もろくにされていない場所に飛ばされ、なんかそこら辺に落ちている水晶玉拾って占い師の真似してたら、本職の占い師だと間違えられて、適当に占いの真似して、適当に結界教えたらわなんか見事に全部的中。あー早く帰りたい。空気のおいしさだけが取り柄のこの世界から、ガス臭い世界へ私を戻して〜。ま、別にどっちでもいいけどね」

 綺麗な黒の髪、柔らかそうな身体。美しい顔。確かに、見た目は聖女だ。見た目だけは。俺はそう思った。